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2.232016
介護予防とは
介護予防と聞くと、介護保険の要介護認定で要支援1、2と認定された高齢者が利用できる介護サービスを思い浮かべます。
要支援1、2の介護度は、介護が必要だが比較的自立した生活を送ることができる人で、ここから要介護状態にならないように、「介護予防」のサービスを受ける対象となります。
介護予防は2006年の介護保険改正に登場しました。
今までの「介護予防」の介護サービスの内容は要介護の高齢者とほとんど同じで利用できるが、利用できる回数に制限があるといった程度でした。
しかし、近年では団塊の世代が75才以上となる2025年を目度に「介護予防」への考え方や取り組み方が、変わりつつあります。
現在の介護予防の理念
・高齢者が要介護状態となることへの予防又は要介護状態の軽減、若しくは悪化の防止を目的として行うもの。
・心身機能の低下、家事などの活動の低下、家庭や社会への参加が低下した高齢者に対しては、リハビリテーションの理念から心身機能、活動、参加のそれぞれの要素にバランスよく働きかけることを重要とする。
・また、単に高齢者の運動機能や栄養状態といった心身機能の改善だけを目指すものではなく、日常生活の活動を高め、家庭や社会への参加を促すことができる。
・これにより、高齢者の一人ひとりの生きがいや自己実現のための取り組みを支援して生活や、生活動作の向上をめざすものにする。
これらの理念を、例をあげて言い換えてみましょう。
今までの高齢者は介護サービスをほとんど受け身で利用されてきました。
例えば、介護ヘルパーに家事援助を依頼して、食事を作ってもらうとします。
今までは、介護ヘルパーが材料を冷蔵庫から出して、調理して盛り付けて、配膳します。
利用者は配膳されたのを食べるだけでした。
この家事援助サービスをこれからの介護予防の概念に習って行なった場合、利用者はできることは一緒に行うことになります。
利用者が半身麻痺であった場合には、使える手で冷蔵庫から野菜を取り出したり、盛り付ける作業を一緒に行います。
少しでも、ヘルパーと一緒に行うことで利用者が1人の時でも、自分でできることが残ります。
例えが極端かもしれませんが、これこそが厚生労働省が促進している介護予防なのです。
これからの介護予防の3つのポイント
わかりやすく言うと、ヘルパーで例えた介護予防の対応を地域スケールで行っていく取り組みになります。
そこで、注目されているのがリハビリテーションです。
これまでは、リハビリテーションといえば、怪我や病気からの回復によるリハビリテーションが主力でしたが、これからは高齢者のリハビリテーションとして活躍が期待されています。
機能回復訓練などの高齢者本人へのアプローチだけではなく、ご自宅で長く暮らせるような生活動作へのアドバイスや生活環境の調整や地域の中で役割を持って生活ができるような居場所づくりや、生きがいを持って生活できる地域の実現も目指しています。
1.高齢者リハビリテーション
高齢者リハビリテーションとは、生活機能向上を目的として、個々に働きかけ、日常生活や地域社会における制限や制約を最小限にし、利用者本人が望んでいる生活を支えていくことを目的としています。
これからはリハビリテーションの専門職が、介護ヘルパーなどの訪問介護やデイサービスなどの介護サービス間のカンファレンスの場にも参加するようになります。
リハビリテーションの専門職が双方に統一して集中的に関わることで、利用者が自宅での活動を高められるようになります。
2.民運営の集いの場の充実
集いに参加している高齢者も、指導者として集いの場の運営に参加するという動機づけをしていきます。
住民自身が運営する体操の集いなどの活動を地域に展開し、人と人とのつながりを通じて継続的に拡大していくような地域づくりにもつながります。
これにより、地域の高齢者が安心して暮らせる環境を実現させることができます。
介護ヘルパーの介護サービスと同じように、受け身でいるだけでなく、元気な高齢者は自分も参加者でありながら、積極的に運営する側にまわることで生活に活気がわき、自然と活動も広がり元気を維持することができます。
3.シニア時代からの参加
高齢者の社会参加を導くことが介護予防につながります。
これは定年後の社会参加を支援することで、社会的役割や自己実現を果たすことができると期待されています。
現在、様々な地域でこれからの介護予防に似合う活動を既に取り組み、地域に根付こうとしています。
しかしながら、地域住民がボランティアで介護予防に携わるとなると、抵抗のある方もいらっしゃると思います。
家に閉じこもりがちであったり、持病を持っている高齢者の方は、少しのきっかけで要介護状態に陥りやすいのが実際です。
お一人おひとりが要介護状態になる前に、又はならないように、一緒に外出したりみんなで体操したりすることは、できないことではないと思います。
地域の中には、「ふれあい、いきいきサロン」として活動しているところがあります。
ふれあい、いきいきサロンは、「無理なく、気軽に集い、笑う」ことを目指しています。
サロンの担い手は、地域住民だけではなく高齢者も活躍しています。
ヒントは「ふれあい、いきいきサロン」にある?
「ふれあい、いきいきサロン」は、1996年から登場し、始めは障害者のためのサロンでしたが、家に閉じこもりがちがちな高齢者の介護予防や、認知症予防に効果があると注目されており、高齢者向けのサロンが増えている傾向にあります。
現在のデイサービスにおいても、近い将来このようなサロン型に転換するデイサービスもあるといわれています。
厚生労働省が目指す介護予防の原点は地域に根付いたこのサロンにあるのではないでしょうか。
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