内閣府の国民生活に関する世論調査によると子どもと別居、または近所に別居を希望するする高齢者は約8割にも達しています。一方、子どもとの同居を希望する高齢者は4分の1以下で、高齢者自身が子どもとの同居を避けてます。団塊の世代の高齢者は、子どもの世話にならない代わりに資産は使い切るという考えを持っていることも調査結果に表れています。

しかし、高齢者だけの生活は、熱中症やその他の病気による孤独死、体の衰えによる買い物難民の増加などが社会問題化しています。そこで、老後を安全・安心に暮らすために「サービス付き高齢者住宅」を検討する人が増加しています。「サービス付き高齢者住宅」は提供されるサービスの範囲が広く、上手に選ばないと期待した生活ができない可能性があります。「サービス付き高齢者住宅」を上手に選ぶための20のチェックポイントについて解説します。

■サービス付き高齢者向け住宅とは

サービス付高齢者向け住宅とは、介護・医療との連携で、「安否確認」と「生活相談・支援」のサービスが受けられるので高齢者が安心して生活できる住宅です。そして、住居はバリアフリーで一般的な賃貸住宅よりも高齢者にとって住みやすく、借りやすい住宅です。

しかし、軽度の要介護者の入居は可能ですが、重度だと入居できない、あるいは生活支援は受けられますが、介護や医療は自宅での生活と同じ条件で外部のサービスを受けなければなりません。また、提供されるサービスの詳細は、施設ごとに異なっています。「食事の提供」「病院への送迎」「買い物代行」「入浴や排せつなどの介護」などのサービス提供の有無は一律に提供される訳ではありません。このため、目的を明確にして、提供されるサービスがどのようなものかをしっかりチェックして施設を選ぶ必要があります。

■20のチェックポイント

サービス付き高齢者住宅では、提供されるサービスが施設ごとにバラつきがあります。そのため自分には、今どんなサービスが必要で将来、どのようなサービスが必要になるかをさまざまな視点からチェックして選ぶ必要があります。以下のチェックポイントに従って選ぶようにしましょう。

1）入居前のチェックポイント

1-1　入居の目的の明確化
入居の目的が明確でないとどんなサービスが必要かあいまいなので、誤った選択をすることになります。
1-2　費用の許容範囲
支出できる費用がどこまで出せるかによっては、選択するサービスの内容に制限が生じます。
1-3　家族との相談
同居家族がいれば、家族との相談し家族の意向も参考にする必要があります。
1-4　サービス付き高齢者住宅の情報収集
入居の目的や家族との相談がしっかりできていれば、無差別にサービス付き高齢者住宅の情報収集をすることなく必要なところだけを取捨選択して選べます。なお、制限をたくさん付けると該当する施設が少ない可能性があります。その場合は、条件を緩めて多くの情報を集めて必要なサービス、不必要なサービスを再検討するようにします。
1-5　費用、サービス内容の優先順位
支出できる費用と受けたいサービスに差がある場合、優先順位を決めて選ぶと入居後でも納得してサービスを受けられます。

2）サービス付き高齢者住宅の選定のチェックポイント

2-1　食事提供の有無、費用の支払条件
2-2　介護・医療サービスの受けやすさ（介護・医療サービスの提供場所が併設か、あるいは遠方かなど）
2-3　介護・医療に関する提供が可能なサービス内容（介護・看護の24時間対応体制の有無など）
2-4　介護保険対象施設かどうか（介護保険を利用するのに必要）
2-5　認知症患者の受け入れの可否
2-6　体験入居の可否
2-7　入居条件
2-8　費用の詳細

3）現地でのチェックポイント

3-1　建物・設備の状態
3-2　担当スタッフの礼儀、対応、仕事に対する態度
3-3　入居者の満足度合い
3-4　清潔感、掃除の状態

4）経営企業のチェックポイント

4-1　資本金、利益など経営状況
4-2　経営方針、運営方法、運営規約
4-3　契約内容

■まとめ

高齢者が住みやすいバリアフリー住居で、安否確認や生活支援のサービスが受けられるサービス付き高齢者住宅の概要。および提供されるサービスに幅があるため、サービス付高齢者住宅を上手に選ぶチェックポイントについて紹介しました。若ければ多少の不便も乗り切れますが、高齢者には簡単なことではありません。

そのため、サービス付高齢者住宅でどのような生活が可能かをしっかり見極める必要があります。決して「費用が安いから」「評判が良いと聞いたから」「何となく良いと思えたから」など、よく検討しないで選ばないようにしなければなりません。安易な決定で選ぶと入居後に失望することになりかねません。